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「2017年06月」の記事一覧

新・江師風土記(2)残った島の村

シーズン

2017年06月09日

(上部がウェル花夢のある江師地区)

 

地平線に沈む太陽をおっかける北海道の道。

そんな走る旅と真逆なのが四国の道、とりわけ高知の道
四国山地のしわをぬって流れる四万十川は曲がった川、

それに沿った道も曲がっていた。
今ではトンネルと橋で改良され串刺しとなった国道(信号も少ないので自動車専用道)である。
ただし、中村(四万十市)方面からおバカさんなナビに頼っていたら、

地図上ではウェル花夢直行の「酷道与作(R439)」を案内するので要注意

 

四万十川を車で走るときは、窓、全開がいい
たまには、折れ曲がった旧道を寄り道するのも変わった景色にであえ、楽しいもの。

その折れ曲がった四万十川は『穿入蛇行(曲流)』といって全国的に有名で、
その中でも特徴的な地形が『曲流切断』による『残った島』がある。

 

野本寛一著『四万十川民俗誌』に

「上流からの水勢が、第一曲点に突流し続けることにより、湾曲の頂点たる第二曲点を迂回することなく直接第三曲点に達し、貫流するようになる。こうなると、迂曲流と貫通流に囲まれた地は川中島となる。やがて、迂曲流の水がなくなり、流れは第一曲点と第三曲点を結ぶ川筋を本流とするに至る。環状をなす曲流河床跡は長い年月の間に安定した水田となり、残存島の裾麗部の一部や環状の水田を屏風状にとり巻く周囲の山の山裾に民家が集まる。こうして、曲流切断という自然のドラマによって形成された円環状の地形は、まことに日本人好みの小宇宙を出現せしむるのである。人びとは、そこをムラの景観の核、信仰の格として大切に守り続け、そこにムラとムラびとを守る神を祭る。」とある。

 

四万十町では、下津井・西ノ川・江師・大正(田野々)・昭和(戸口)・大井川に『残った島』はあり、その多くが鎮守の森となっている。

2時間あれば全行程、見て廻ることができる。

上の写真は1975年(昭和50)11月の航空写真で
右側から下部に流れる川が四万十川1支川梼原川、

上部の段丘耕地の真ん中に緑色の森となっているのがウェル花夢のある「江師」である。
ウェル花夢は、この写真にはないが

江師地区の右側の緑色の区画された農地(旧大正営林署江師育苗場)の場所に位置する。

江師地区の中央部が、いわゆる「残存島」の鎮守の森で、字名はまさに「村中山」。
旧河道の農地、山裾の民家とあわせ「曲流切断」の円環状地形がよくわかる空中写真である。

 

ウェル花夢にキャンプにきたら、ぶら~り江師をひと廻りしたら実感するよ

 

四万十町には、国選定の重要文化的景観として『四万十川流域の文化的景観 中流域の農山村と流通・往来』、国指定天然記念物の『小鶴津の興津メランジュ・シュードタキライト』もあり
地球の移ろいを感じる旅となるでしょう。

(20170609胡)

ウェル花夢の植物図鑑(2)いろはもみじ

シーズン

2017年06月07日

イロハモミジの翼果。プロペラのように飛べ

タカオモミジ(高雄楓、いろは紅葉、イロハカエデ、学名Acer Pallmatum、カエデ属)
開花:4~5月。写真は果実

 

日本で代表されるモミジが一般にイロハモミジと呼ばれる。
5月ごろ開花、6月には果実が二つの羽子(翼果)となり新緑の葉に美しく映える。

 

少しでも遠くに種の保存をしたいのか
プロペラのような羽子の形状はいじらしくも理にかなっている。
そんなところが、魅かれる植物のひとつである。

 

原色牧野植物大図鑑でも「タカオモミジ・別名イロハカエデ」となっている。
「高雄楓」は、京都の紅葉の名所・高雄(尾)山にちなんだもので、
カエデ類の園芸品種の大部分はこれから改良されたものという。
イロハカエデ(もみじ)の命名由来は葉の裂片の数え方によるもので
それを「いろはにほへと」と数えたことから「イロハ」となったとか。
紅葉で有名な日光いろは坂。数え方としてはもうとっくに死語で
「・・よたれ」のヘアピンははどのあたりになるかさっぱりわからない。

 

葉の切れ込みが深いカエデを「〇〇モミジ」
葉の切込みが浅いカエデを「〇〇カエデ」と呼ぶ、という説が通説のようだが
モミジの語源は、木の葉が赤や黄に色づくことの古語「もみず」からきたもの
カエデの由来は、葉形がカエルの手ににているところから音韻が転訛したという

 

奈良時代まではモミチと濁らず発音され、「黄葉」と書かれたが
平安時代以降になると「紅葉」と書くことが多くなったという。
鎌倉時代になるとモミジがカエデ類の総称になったということだ。

私たちの見える色の世界も、時代において大切にした色、美しいと感じる色
それころ色々感じ方がちがってきた。
どうしてモミジは赤・朱でなく紅なのか。
薔薇色、緋色、丹色、茜色、臙脂色、小豆色
福田邦夫著「色の名前507」を読めば色の世界が違って見えてくる。
こちらのサイトも面白い。→四万十町地名辞典サイト→地名文化財「白と黒」

 

植物も種の保存から、遠くへ飛びたい、鳥に運んでもらいたいと
種子の色や形が進化していたのだろう。
ウェル花夢のピラカンサスの赤い実も、冬となり雪が降るとそのコントラストに
鳥がいっせいに寄ってきてついばんでは、遠くへ運んで行ってくれる。

(20170607胡)

ウェル花夢の植物図鑑(1)ヤマボウシ

シーズン

2017年06月06日

10号ケビン前のヤマボウシ

ヤマボウシ(山法師、ヤマグワ、ヤマグルマ、学名Cornus Kousa Buerg、ミズキ科ミズキ属)
開花期:6月~7月

 

ウェル花夢の10号ケビン、5号ケビンに見ることができます。
本来は西日本など温帯域に生育する花木ですが
今では園芸品種として街路樹や庭先にも植えられるようになりました。

新緑の葉の上に添える美しい白い十字架のような花形、
実は花弁ではなく総苞片(花のつけ根の葉)と言うそうです。
その中に黄緑色の小花が20~30個球状になっているのが集合花です。
葉の上部に咲くので、上から見るのが一番です。

秋になれば真っ赤な実となり、果肉は甘みも食感もよくそのまま食べられるますが、
ジャムや果実酒などに加工する方が多いそうです。

原色牧野植物大図鑑

花を法師の頭に、4枚の総苞片を頭巾に見立て「ヤマボウシ(山法師)」の和名となったそうです。

ウェル花夢には、アメリカハナミズキやサンシュユは植えていませんが兄弟です。
アハミズキに比べ病気にもなりにくい。葉よし、花よし、紅葉よし。
10m近くの高さになるので、それをみこして自由に育ててください。
個人的には早春を待ちわびたように咲くサンシュユ(山茱萸) が好きです。

(20170606胡)

(風車のようなヤマボウシ)

新・江師風土記(1)田植え

シーズン

2017年06月05日

ウェル花夢の江師地区。田植えも終わり、水と光をたっぷり浴びて育つ

田舎で生きるすごいところは、毎年おなじことを繰り返すこと。
後継者がいない、機械貧乏、現金のため出稼ぎが一番
・・とかいいながらも、
春になると山間の少しばかりの田んぼに水をはり田植えのしつらえをする。
 
1年サイクルの暮らしぶりは、
2千年の体に焼き付いた弥生人のDNAなのだろう。
そんな弥生文化の稲づくりは、
縄文時代を生きる自由な山暮らしの人々にとって
退屈な苦役でしかなかったのではないかと思えてくる。
 
シーシュポスの神話にこんな刑罰がある。
「大きな岩を山頂に押して運ぶ。
 と、その瞬間に岩は転がり落ちてしまう。
 また、同じ動作を何度繰り返す」というもので、
意味のない行為が最大の刑罰だという。
 
(並ぶ早苗)

稲作を意味がないというわけではない
米が暮らしに豊かさをもたらしたと歴史で習ったが、
失ったものも多い。
佐賀県吉野ヶ里の環濠集落は、稲の「富」が集積されるゆえに、
収奪と配分に力関係が生まれ、
外敵から「富」守る必要から、
戦いも生まれてくる。

 

縄文の山人の暮らしは、春は春、秋は秋の、
時折々の山の実りをいただくだけ。
余分にいただくこともないから、
蓄える「富」も必要がない、蓄える土地もない。
外敵が来ることもないが、来たら山にいっとき隠れればよい。
土地に縛られることもない自由人。

 
「漂白」と「定着」は生き方の分かれ道
家を建てその借金のためにがむしゃらに働く都会の人々は
土地に呪縛された里の人と同じ弥生人に流れる「定着」のDNA

私のDNAは「漂白」する縄文人に違いない。

(20150605胡)

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